【原文】
玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの 弱りもぞする
式子内親王
【現代かなづかい】
たまのおよ たえなばたえね ながらえば しのぶることの よわりもぞする
【現代語訳】
わが命よ、絶えてしまうなら、いっそのこと絶えてしまえ。このまま生き長らえていると、ますます恋心が強くなり、心に秘めている力が弱まって、人目につくようにでもなったら困るから。
【文法・修辞法】
●玉の緒よ 「玉の緒」は命のこと。間投助詞「よ」で呼びかけ。初句切れ。
●絶えなば絶えね 「絶え」+「な」+「ば」 下二段動詞「絶ゆ」の連用形+完了の助動詞「ぬ」の未然形+仮定条件の接続助詞「ば」
「絶え」+「ね」 下二段動詞「絶ゆ」の連用形+完了の助動詞「ぬ」の命令形。二句切れ。
●もぞ そうなっては困る、という気持ちを表す。「もこそ」も同じ。
●係り結び 係助詞「ぞ」+サ変動詞「す」の連体形「する」
●縁語
糸を示す「緒」と「絶ゆ」「ながらふ」「弱る」は縁語。
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