百人一首 八十九番歌

【原文】

玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの 弱りもぞする

式子内親王

【現代かなづかい】

たまのおよ たえなばたえね ながらえば しのぶることの よわりもぞする

【現代語訳】

わが命よ、絶えてしまうなら、いっそのこと絶えてしまえ。このまま生き長らえていると、ますます恋心が強くなり、心に秘めている力が弱まって、人目につくようにでもなったら困るから。

【文法・修辞法】

●玉の緒よ 「玉の緒」は命のこと。間投助詞「よ」で呼びかけ。初句切れ。

●絶えなば絶えね 「絶え」+「な」+「ば」 下二段動詞「絶ゆ」の連用形+完了の助動詞「ぬ」の未然形+仮定条件の接続助詞「ば」

「絶え」+「ね」 下二段動詞「絶ゆ」の連用形+完了の助動詞「ぬ」の命令形。二句切れ。

●もぞ そうなっては困る、という気持ちを表す。「もこそ」も同じ。

●係り結び 係助詞「ぞ」+サ変動詞「す」の連体形「する」

●縁語

糸を示す「緒」と「絶ゆ」「ながらふ」「弱る」は縁語。

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