「永字八法」意味は? 読み方は? 四字熟語2

◯永字八法【えいじはっぽう】 (漢検5級相当)

◎意味 「永」の一文字に書道の筆法のすべてが含まれていること。

「永」の字を書き順通り書くと、次の八法の運筆を練習することができる。

●側(そく)

側とは、点のこと。永の1画目。左上から右下へ筆をおく。

●勒(ろく)

勒は横画。永の2画目の上の部分。横に動いて曲がる前に止める。

●努(ど)

努はたて画。永の2画目の直線部分。まっすぐ下に筆を運ぶ。

●趯(てき)(走にょう+曜日の曜の右側のつくり)

趯は、「はね」。永の2画目の終点部分。しっかり止めてからはねる。

●策(さく)

策は右上がりの横画。永の3画目。右上に筆を運び、最後は止めずに筆を抜く。

●掠(りゃく)

掠は「左はらい」。永の3画目。左下にゆっくりとはらう。

●啄(たく)

啄は短い左はらい。永の4画目。左下に一気にはらう。

●磔(たく)

磔は右はらい。永の5画目。右下へゆっくり筆を運び、最後にいったん止めてから筆を抜く。

書評『かなり気になる日本語』SB新書 厚切りジェイソン著

アメリカ生まれの芸人厚切りジェイソンの日本語についての50の疑問を取り上げている。

おなじみの漢字の読み方や慣用句の謎だけでなく、あいづちなどの非言語(ノンバーバル)コミュニケーションなど、日本語非ネイティブならではの疑問もある。

この本で初めて知る情報もあり、疑問に思わなければ調べなかったようなことまで調べている。

たとえば、緑色なのに「青信号」と呼ぶ経緯について、単に言葉だけでなく、実際に信号の色が変更されたことがあったらしい。英語では青信号はgreen lightと書くので、グリーンと聞いて思い浮かべる通りの緑色の光をしている。

しかし、日本の青信号は、色弱の人の視認性を考慮して、わざと青寄りの緑色の光に変えたという。そのため、昔の日本語では「緑も含めて青と呼んでいた」という説明では不十分で、実際に青っぽい色をしているのから青信号なのだ。

ほかにも色々興味深い事柄について書いているので、値段以上に価値がある本だ。

「不可抗力」読み方は? 意味は? 四字熟語1

◯不可抗力【ふかこうりょく】 (漢検3級相当)

◎意味 広辞苑によると

①天災地変のように人の力ではどうにもすることができない力。

②法律上、外部から生じた障害で通常必要と認められる注意や予防方法を尽くしても
なお防止し得ないもの。

語の構成は「不可抗」+「力」

一般的な意味は①で、主に地震や台風などの天災の意味で使われる。それと同じように事件・事故に巻き込まれた時や本人の力ではどうしようもできない事情にも使われる。

②の意味で使うときは、天災やテロや戦争などの社会的事変を指すことが多い。そこまでいかなくとも「双方の責(せめ)に帰すことのできない事情」の言い換えとして免責事項を定める場合に使われる。

不可抗力条項とは?法律の意味や契約書の例文を紹介

https://biz.moneyforward.com/contract/basic/8583/

不可抗力が法律中で用いられている例は約 30 例あり、「天災その他の不可抗力」として用いられている例が多い。法令上、不可抗力の意義を定義しているものはない。(内閣府資料)

建設業法第19条 建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従って、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。

六 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する
定め

「天災その他不可抗力」とは、台風、地震、豪雨等人力をもってしては防ぐことのできない異常な災害、その他社会通念上可能な限りの防止措置を講じても抗することのできない事故等で注文者及び請負人の双方の責に帰すことのできないものをいう。
(出典:「建設業法解説 改訂9版」 建設業法研究会編著 大成出版社 2001 年

不可抗力は免責となるのが原則であるが、例外的に不可抗力でも免責されないと規定したり、違約金や賠償額の予定を定めていることが多い。

免責されない代表例としては金銭債権(いわゆる借金)。期日までに返せなかったらどのような理由でも債務不履行となる。

民法第419条第3項 第1項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。

賃貸借のように一部免責の場合もある。

民法第609条 収益を目的とする土地の賃借人は、不可抗力によって賃料より少ない収益を得たときは、その収益の額に至るまで、賃料の減額を請求することができる。ただし、宅地の賃貸借については、この限りでない。

百人一首 十二番歌

【原文・歴史的仮名遣い】

天つ風 雲の通ひ路 吹き閉ぢよ をとめの姿 しばしとどめむ

僧正遍昭

【ひらがな表記・現代かなづかい】

あまつかぜ くものかよいじ ふきとじよ おとめのすがた しばしとどめん

HiNative Trek

百人一首 十一番歌

【原文・歴史的仮名遣い】

わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ あまの釣り舟

参議篁

【ひらがな表記・現代かなづかい】

わたのはら やひしまかけて こぎいでぬと ひとにはつげよ あまのつりぶね

百人一首 十番歌

【原文・歴史的仮名遣い】

これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関

蝉丸

【ひらがな表記・現代かなづかい】

これやこの ゆくもかえるも わかれては しるもしらぬも おうさかのせき

【現代語訳】

百人一首 九番歌

【原文・歴史的仮名遣い】

花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせし間に

小野小町

【ひらがな表記・現代かなづかい】

はなのいろは うつりにけりな いたずらに わがみよにふる ながめせしまに

【現代語訳】

桜の花の色は、すっかりあせてしまったなあ。むなしく長雨の降り続いた間に。振り返ってわが身の上を思えば、恋の思いに明け暮れて、むなしくもの思いにふけっている間に、美しい容色も衰えてしまったことだ。

百人一首 八番歌

【原文・歴史的仮名遣い】

わが庵は 都のたつみ しかぞすむ 世をうぢ山と 人は言ふなり

喜撰法師

【ひらがな表記・現代かなづかい】

わがいおは みやこのたつみ しかぞすむ よをうじやまと ひとはゆうなり

【現代語訳】

私の仮住まいは都の東南、宇治山にあって、このように心静かに澄んだ心境で暮らしている。それなのに世間の人は、この世の中をつらいといってのがれて住む宇治山と言っているそうだ。

SINCA

百人一首 七番歌

【原文・歴史的仮名遣い】

天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも

阿倍仲麻呂

【ひらがな表記・現代かなづかい】

あまのはら ふりさけみれば かすがなる みかさのやまに いでしつきかも

【現代語訳】

大空をはるかに見渡すと、(この異国の空に)今しも月が美しくのぼっている。ああこの月は、故郷の春日にある三笠の山に出た、あの懐かしい月なのだなあ。

【作者・背景】

●阿部仲麻呂(698~770)

716(霊亀2)年、吉備真備・玄昉らとともに第9回遣唐使として派遣された。留学生でありながら科挙に合格するほどの秀才で、唐の玄宗皇帝に気に入られ、「晁衡」と中国名を名乗り唐の朝廷に仕える。李白・王維らの詩人とも交流があった。752(天平11)年第12回遣唐使の船に乗船して帰国しようとしたが安南(ベトナム)で遭難し、日本に帰らず唐で一生を終えた。

「天の原」の歌は唐から日本に帰国する際に、唐の友人らが開いた送別会で詠んだものである。

●三笠山

奈良市の東にある春日山の支峰。標高297m。御笠山または御蓋山とも書き、若草山との混同を避けるため「おんふたやま(御蓋山)」と呼ぶこともある。笠を伏せたような左右対称な三角形の形をしているため、こう呼ばれた。麓に世界遺産の春日大社がある。

春日大社のアクセスは、JRまたは近鉄「奈良駅」から、奈良交通バス約15分「春日大社本殿」下車、または奈良交通バス(市内循環外回り)約10分「春日大社表参道」下車徒歩約10分 

https://www.kintetsu.co.jp/nara/report_powerspot/kasugataisha.html

百人一首 六番歌

【原文・歴史的仮名遣い】

かささぎの 渡せる橋に 置く霜の 白きを見れば 夜ぞふけにける

中納言家持

【ひらがな表記・現代かなづかい】

かささぎの わたせるはしに おくしもの しろきをみれば よぞふけにける

【現代語訳】

七夕の夜、かささぎが翼を広げて天の川に掛け渡したという橋を思わせるこの宮中の階段に降りた霜の、白くさえた色を見ると、夜もかなり更けたことだなあ。

【文法・修辞】

「渡せる」は「渡す(四段活用動詞)」の已然形+存続の助動詞「り」の連体形、渡しているの意味。

係助詞「ぞ」と「ふけにける」で係り結び。「更(ふ)ける」の連用形+完了の助動詞「ぬ」+過去の助動詞「けり」の連体形。「ぞ」「なむ」「や」「か」は連体形で係り結びする。

【解釈論争】

●秋(七夕)か冬か

かささぎは七夕に関係する鳥なので、七夕(古典では秋の季語)の時期と解釈できる。一方、霜は冬の季節のものである。橋におりた霜ではなく、夜空の星を霜に見立てれば、天の川にかがやく星ということで七夕をうたったものということになる。

国学者賀茂真淵の説では、「かささぎの橋」は「宮中の御橋」のことを指し、七夕の行事で通った橋に、霜が降りていて冬を実感しているということになる。

【作者・背景】

●新古今集巻6

●大伴家持(718?~785)

三十六歌仙の一人。大納言大伴旅人の子。万葉集に最も歌の多い歌人で、440余首が載る。しかし、この歌は万葉集には見えず、詠み人知らずの歌を大伴家持に仮託したものと思われる。