「遠交近攻」読み方は?意味は? 四字熟語5

◯遠交近攻【えんこうきんこう】 (漢検4級相当)

◎意味 遠い国と国交を結んで、近くの国を攻撃すること。孫子の兵法三十六計の第二十三計。

「遠きと交わり近きを攻む」と訓読することもある。

◎故事

秦の昭襄王(始皇帝の三代前の秦王)が宰相の范雎(はんしょ)の助言により、それまで秦の隣国の韓と魏と同盟して、斉を攻めていたのをやめさせて、逆に斉と同盟して、韓と魏を攻めるようになった。遠くの国と同盟することで近くの国を挟み撃ちの形で有利な形で攻めることができる。外交戦略のひとつ。

◎歴史上の実例

・第一次世界大戦(1914-1918)時の三国協商。勢いを増してきたドイツを抑えるため、西側のイギリス・フランスと東側のロシアが同盟を結んだ。これに対してドイツはオーストリア・トルコと三国同盟を結んで対抗し、西のフランス、東のロシアと同時に戦う二正面作戦を強いられた。

・日英同盟(1902-1923) 中国大陸に進出したい日本とロシアの勢力拡大を阻止したいイギリスの思惑が合致して日英同盟が結ばれた。その後の日露戦争(1904)で日本がロシアに勝利するきっかけとなった。

・濃越同盟 元亀三年(1572)美濃の織田信長と越後の上杉謙信との間の同盟。不和になった将軍足利義昭が甲斐の武田信玄、近江の浅井長政、越前の朝倉義景、摂津の本願寺に信長打倒を呼びかけて信長包囲網を形成したので、武田信玄を牽制するため、上杉謙信と同盟して、武田軍の西進に備えた。

人事の単語帳

「鬼面仏心」読み方は? 意味は? 四字熟語4

◯鬼面仏心【きめんぶっしん】 (漢検4級相当)

◎意味

見た目は恐ろしそうだが、本当は心がとてもやさしいこと。鬼のような怖そうな顔をしているが、内面は仏のようなやさしい心をしているという意味。仏心鬼面とも書く。

◎対義語

人面獣心

◎現代の世相にアレンジ

仏面鬼心はご勘弁 ― 公益財団法人京都新聞社会福祉事業団

https://fukushi.kyoto-np.co.jp/news-topics/11890/

鬼手仏心 外科医を表現する言葉 ― 横浜みなと外科クリニック

https://y-minato-asc.jp/creed/924-2/

「象箸玉杯」読み方は? 意味は? 四字熟語3

◯象箸玉杯【ぞうちょぎょくはい】 (漢検準1級相当)

◎意味 ぜいたくな生活をすること。「象箸」は象牙でできた箸。「玉杯」は宝玉で作られた杯。

◎出典 『韓非子』

◎由来

古代中国の殷王朝最後の王・紂王(帝辛)に仕える箕子(胥余)が、紂王が象牙の箸を作ったと聞いて、その次は玉の杯を作るだろう、さらに食事もどんどん豪華になり、贅沢はとどまることを知らないと憂えた。箕子は比干とともに紂王を諌めたが幽閉された。贅沢の限りを極めて暴君化した紂王は周の武王によって倒され、殷王朝が滅びた。ぜいたくをいましめる故事が由来。

殷の滅亡後、箕子が箕子朝鮮を開いたという伝説がある。

「永字八法」意味は? 読み方は? 四字熟語2

◯永字八法【えいじはっぽう】 (漢検5級相当)

◎意味 「永」の一文字に書道の筆法のすべてが含まれていること。

「永」の字を書き順通り書くと、次の八法の運筆を練習することができる。

●側(そく)

側とは、点のこと。永の1画目。左上から右下へ筆をおく。

●勒(ろく)

勒は横画。永の2画目の上の部分。横に動いて曲がる前に止める。

●努(ど)

努はたて画。永の2画目の直線部分。まっすぐ下に筆を運ぶ。

●趯(てき)(走にょう+曜日の曜の右側のつくり)

趯は、「はね」。永の2画目の終点部分。しっかり止めてからはねる。

●策(さく)

策は右上がりの横画。永の3画目。右上に筆を運び、最後は止めずに筆を抜く。

●掠(りゃく)

掠は「左はらい」。永の3画目。左下にゆっくりとはらう。

●啄(たく)

啄は短い左はらい。永の4画目。左下に一気にはらう。

●磔(たく)

磔は右はらい。永の5画目。右下へゆっくり筆を運び、最後にいったん止めてから筆を抜く。

「不可抗力」読み方は? 意味は? 四字熟語1

◯不可抗力【ふかこうりょく】 (漢検3級相当)

◎意味 広辞苑によると

①天災地変のように人の力ではどうにもすることができない力。

②法律上、外部から生じた障害で通常必要と認められる注意や予防方法を尽くしても
なお防止し得ないもの。

語の構成は「不可抗」+「力」

一般的な意味は①で、主に地震や台風などの天災の意味で使われる。それと同じように事件・事故に巻き込まれた時や本人の力ではどうしようもできない事情にも使われる。

②の意味で使うときは、天災やテロや戦争などの社会的事変を指すことが多い。そこまでいかなくとも「双方の責(せめ)に帰すことのできない事情」の言い換えとして免責事項を定める場合に使われる。

不可抗力条項とは?法律の意味や契約書の例文を紹介

https://biz.moneyforward.com/contract/basic/8583/

不可抗力が法律中で用いられている例は約 30 例あり、「天災その他の不可抗力」として用いられている例が多い。法令上、不可抗力の意義を定義しているものはない。(内閣府資料)

建設業法第19条 建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従って、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。

六 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する
定め

「天災その他不可抗力」とは、台風、地震、豪雨等人力をもってしては防ぐことのできない異常な災害、その他社会通念上可能な限りの防止措置を講じても抗することのできない事故等で注文者及び請負人の双方の責に帰すことのできないものをいう。
(出典:「建設業法解説 改訂9版」 建設業法研究会編著 大成出版社 2001 年

不可抗力は免責となるのが原則であるが、例外的に不可抗力でも免責されないと規定したり、違約金や賠償額の予定を定めていることが多い。

免責されない代表例としては金銭債権(いわゆる借金)。期日までに返せなかったらどのような理由でも債務不履行となる。

民法第419条第3項 第1項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。

賃貸借のように一部免責の場合もある。

民法第609条 収益を目的とする土地の賃借人は、不可抗力によって賃料より少ない収益を得たときは、その収益の額に至るまで、賃料の減額を請求することができる。ただし、宅地の賃貸借については、この限りでない。