書評『へうげもの』第1巻 モーニングKC 講談社

織田信長の家臣で茶人として有名な古田織部(左介)が主人公の漫画。

陶芸に詳しい人なら、織部焼の祖・古田織部を知っているかもしれない。

「君はもののために死ねるか」という題の通り、この漫画に登場する武将たちは数奇者だらけである。

謀反を起こして信貴山城に立てこもった松永久秀は、天下の名器平蜘蛛茶釜を渡せば助命してやるとの織田信長の和睦案を断り、平蜘蛛茶釜に爆薬を詰め、城を枕に自爆して果てた。

謀反人の代名詞とされる松永弾正久秀の茶器への愛着も凄いが、戦国の世で城や命と引き換えに茶器を手に入れようとする織田信長の執着も凄い。

作中で久秀が信長を自分と似ていると評する場面があるが、二人の野心家が惹かれ合うとしているのは坂口安吾の作品(未完)にもある。

坂口安吾『織田信長』 青空文庫

https://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/43138_23708.html

ちなみに、へうげもの(歴史的仮名遣い)の読みは、「ひょうげもの」。

漢字で書くと「剽げ者」。剽軽(ひょうきん)の剽。

意味は、おどける、ふざける、ひょうきんな言動をする。

名古屋弁では、たわけとか、うつけということになろうか。

すでに死語になってるかと思いきや、方言として使っている地域もあるらしい。

ひょうげ祭り 香川県

https://www.pref.kagawa.lg.jp/tochikai/midori_info/festival/hyouge.html

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