言語雑学

【原文】

逢ふことの　絶えてしなくは　なかなかに　人をも身をも　恨みざらまし

中納言朝忠

【現代かなづかい】

あうことの　たえてしなくは　なかなかに　ひとをもみをも　うらみざらまし

【原文】

逢ひ見ての　のちの心に比ぶれば　昔は物を　思はざりけり

権中納言敦忠

【現代かなづかい】

あいみての　のちのこころに　くらぶれば　むかしはものを　おもわざりけり

【原文】

契りきな　かたみに袖を　しぼりつつ　末の松山　波越さじとは

清原元輔

【現代かなづかい】

ちぎりきな　かたみにそでを　しぼりつつ　すえのまつやま　なみこさじとは

【原文】

恋すてふ　わが名はまだき　立ちにけり　人知れずこそ　思ひそめしか

壬生忠見

【現代かなづかい】

こいすちょう　わがなはまだき　たちにけり　ひとしれずこそ　おもいそめしか

【原文】

しのぶれど　色に出でにけり　わが恋は　物や思ふと　人の問ふまで

平兼盛

【現代かなづかい】

しのぶれど　いろにいでにけり　わがこいは　ものやおもうと　ひとのとうまで

ガイトレ　難関英語資格試験対策専門塾

【原文】

浅茅生の　小野の篠原　しのぶれど　あまりてなどか　人の恋しき

参議　等

【現代かなづかい】

あさじゅうの　おののまつばら　しのぶれど　あまりてなどか　ひとのこいしき

【原文】

忘らるる　身をば思はず　誓ひてし　人の命の　惜しくもあるかな

右近

【現代かなづかい】

わすらるる　みをばおもわず　ちかいてし　ひとのいのちの　おしくもあるかな

【原文】

白露に　風の吹きしく　秋の野は　つらぬきとめぬ　玉ぞ散りける

文屋朝康

【現代かなづかい】

しらつゆに　かぜのふきしく　あきののは　つらぬきとめぬ　たまぞちりける

【原文】

夏の夜は　まだ宵ながら　明けぬるを　雲のいづこに　月宿るらむ

清原深養父

【現代かなづかい】

なつのよは　まだよいながら　あけぬるを　くものいずこに　つきやどるらん

【原文】

人はいさ　心も知らず　ふるさとは　花ぞ昔の　香ににほひける

紀貫之

【現代かなづかい】

ひとはいさ　こころもしらず　ふるさとは　はなぞむかしの　かににおいける