百人一首 八十五番歌

【原文】

夜もすがら 物思ふころは 明けやらで 閨のひまさへ つれなかりけり

俊恵法師

【現代かなづかい】

よもすがら ものおもうころは あけやらで ねやのひまさえ つれなかりけり

百人一首 八十四番歌

【原文】

ながらへば またこのごろや しのばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき

藤原清輔朝臣

【現代かなづかい】

ながらえば またころのごろや しのばれん うしとみしよぞ いまはこいしき

百人一首 八十三番歌

【原文】

世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる

皇太后宮大夫俊成

【現代かなづかい】

よのなかよ みちこそなけれ おもいいる やまのおくにも しかぞなくなる

百人一首 八十一番歌

【原文】

ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば ただ有り明けの 月ぞ残れる

後徳大寺左大臣

【現代かなづかい】

ほととぎす なきつるかたを ながむれば ただありあけの つきぞのこれる

百人一首 八十番歌

【原文】

長からむ 心も知らず 黒髪の 乱れて今朝は 物をこそ思へ

待賢門院堀河

【現代かなづかい】

ながからん こころもしらず くろかみの みだれてけさは ものをこそおもえ

百人一首 七十九番歌

【原文】

秋風に たなびく雲の 絶え間より もれ出づる月の 影のさやけさ

左京大夫顕輔

【現代かなづかい】

あきかぜに たなびくくもの たえまより もれいずるつきの かげのさやけさ