【原文】
村雨の 露もまだひぬ まきの葉に 霧立ちのぼる 秋の夕暮れ
寂蓮法師
【現代かなづかい】
むらさめの つゆもまだひぬ まきのはに きりたちのぼる あきのゆうぐれ
【原文】
村雨の 露もまだひぬ まきの葉に 霧立ちのぼる 秋の夕暮れ
寂蓮法師
【現代かなづかい】
むらさめの つゆもまだひぬ まきのはに きりたちのぼる あきのゆうぐれ
【原文】
夜もすがら 物思ふころは 明けやらで 閨のひまさへ つれなかりけり
俊恵法師
【現代かなづかい】
よもすがら ものおもうころは あけやらで ねやのひまさえ つれなかりけり
【原文】
ながらへば またこのごろや しのばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき
藤原清輔朝臣
【現代かなづかい】
ながらえば またころのごろや しのばれん うしとみしよぞ いまはこいしき
【原文】
世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる
皇太后宮大夫俊成
【現代かなづかい】
よのなかよ みちこそなけれ おもいいる やまのおくにも しかぞなくなる
【原文】
思ひわび さても命は あるものを 憂きにたへぬは 涙なりけり
道因法師
【現代かなづかい】
おもいわび さてもいのちは あるものを うきにたえぬは なみだなりけり
【原文】
ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば ただ有り明けの 月ぞ残れる
後徳大寺左大臣
【現代かなづかい】
ほととぎす なきつるかたを ながむれば ただありあけの つきぞのこれる