【原文】わびぬれば 今はた同じ 難波なる みをつくしても 逢はむとぞ思ふ
元良親王
【現代かなづかい】
わびぬれば いまはたおなじ なにわなる みをつくしても あわんとぞおもう

【原文】
ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは
在原業平朝臣
【現代かなづかい】
ちはやぶる かみよもきかず たつたがわ からくれないに みずくくるとは
【原文】
たち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む
中納言行平
【現代かなづかい】
たちわかれ いなばのやまの みねにおうる まつとしきかば いまかえりこん
【原文】
君がため 春の野に出でて 若菜摘む わが衣手に 雪は降りつつ
光孝天皇
【現代かなづかい】
きみがため はるののにいでて わかなつむ わがころもでに ゆきはふりつつ
【原文】
陸奥の しのぶもぢずり たれゆゑに 乱れそめにし 我ならなくに
河原左大臣
【現代かなづかい】
みちのくの しのぶもじずり たれゆえに みだれそめにし われならなくに
【原文・歴史的仮名遣い】
筑波嶺の 峰より落つる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりぬる
陽成院
【ひらがな表記・現代かなづかい】
つくばねの みねよりおつる みなのがわ こいぞつもりて ふちとなりぬる