百人一首 十六番歌

【原文】

たち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む

中納言行平

【現代かなづかい】

たちわかれ いなばのやまの みねにおうる まつとしきかば いまかえりこん

百人一首 十四番歌

【原文】

陸奥の しのぶもぢずり たれゆゑに 乱れそめにし 我ならなくに

河原左大臣

【現代かなづかい】

みちのくの しのぶもじずり たれゆえに みだれそめにし われならなくに

百人一首 十三番歌

【原文・歴史的仮名遣い】

筑波嶺の 峰より落つる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりぬる

陽成院

【ひらがな表記・現代かなづかい】

つくばねの みねよりおつる みなのがわ こいぞつもりて ふちとなりぬる

百人一首 十二番歌

【原文・歴史的仮名遣い】

天つ風 雲の通ひ路 吹き閉ぢよ をとめの姿 しばしとどめむ

僧正遍昭

【ひらがな表記・現代かなづかい】

あまつかぜ くものかよいじ ふきとじよ おとめのすがた しばしとどめん

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百人一首 十一番歌

【原文・歴史的仮名遣い】

わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ あまの釣り舟

参議篁

【ひらがな表記・現代かなづかい】

わたのはら やひしまかけて こぎいでぬと ひとにはつげよ あまのつりぶね

百人一首 十番歌

【原文・歴史的仮名遣い】

これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関

蝉丸

【ひらがな表記・現代かなづかい】

これやこの ゆくもかえるも わかれては しるもしらぬも おうさかのせき

【現代語訳】

百人一首 九番歌

【原文・歴史的仮名遣い】

花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせし間に

小野小町

【ひらがな表記・現代かなづかい】

はなのいろは うつりにけりな いたずらに わがみよにふる ながめせしまに

【現代語訳】

桜の花の色は、すっかりあせてしまったなあ。むなしく長雨の降り続いた間に。振り返ってわが身の上を思えば、恋の思いに明け暮れて、むなしくもの思いにふけっている間に、美しい容色も衰えてしまったことだ。

百人一首 八番歌

【原文・歴史的仮名遣い】

わが庵は 都のたつみ しかぞすむ 世をうぢ山と 人は言ふなり

喜撰法師

【ひらがな表記・現代かなづかい】

わがいおは みやこのたつみ しかぞすむ よをうじやまと ひとはゆうなり

【現代語訳】

私の仮住まいは都の東南、宇治山にあって、このように心静かに澄んだ心境で暮らしている。それなのに世間の人は、この世の中をつらいといってのがれて住む宇治山と言っているそうだ。

SINCA

百人一首 七番歌

【原文・歴史的仮名遣い】

天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも

阿倍仲麻呂

【ひらがな表記・現代かなづかい】

あまのはら ふりさけみれば かすがなる みかさのやまに いでしつきかも

【現代語訳】

大空をはるかに見渡すと、(この異国の空に)今しも月が美しくのぼっている。ああこの月は、故郷の春日にある三笠の山に出た、あの懐かしい月なのだなあ。

【作者・背景】

●阿部仲麻呂(698~770)

716(霊亀2)年、吉備真備・玄昉らとともに第9回遣唐使として派遣された。留学生でありながら科挙に合格するほどの秀才で、唐の玄宗皇帝に気に入られ、「晁衡」と中国名を名乗り唐の朝廷に仕える。李白・王維らの詩人とも交流があった。752(天平11)年第12回遣唐使の船に乗船して帰国しようとしたが安南(ベトナム)で遭難し、日本に帰らず唐で一生を終えた。

「天の原」の歌は唐から日本に帰国する際に、唐の友人らが開いた送別会で詠んだものである。

●三笠山

奈良市の東にある春日山の支峰。標高297m。御笠山または御蓋山とも書き、若草山との混同を避けるため「おんふたやま(御蓋山)」と呼ぶこともある。笠を伏せたような左右対称な三角形の形をしているため、こう呼ばれた。麓に世界遺産の春日大社がある。

春日大社のアクセスは、JRまたは近鉄「奈良駅」から、奈良交通バス約15分「春日大社本殿」下車、または奈良交通バス(市内循環外回り)約10分「春日大社表参道」下車徒歩約10分 

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